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北海道大学 Hokkaido Summer Institute 2025「南極・北極学特別講義II」の開催

公開日

北海道大学 Hokkaido Summer Institute 2025「南極・北極学特別講義II」の開催

北海道大学では、にかけて、ArCS IIIの人材育成事業と連携して、Hokkaido Summer Institute 2025「南極・北極学特別講義II」を開催しました。

本プログラムは、本学の特徴ある研究分野である「南極」・「北極」を中心テーマとして、その概要と先端研究を学ぶ科目です。スイスとドイツから講師を招聘すると共に、オンラインを使ってアメリカの講師とも繋ぎ、北大教員を交えて実施する講義です。英語講義の聴講、海外研究者との質疑応答、受講自身の口頭発表などを通じて、参加者はコミュニケーション技術も習得しました。

今年度はArCS IIIとの連携によって、北大外からもたくさんの大学院生が参加し、広いバックグラウンドを持った大学院生が交流する機会にもなりました。

 

講義名 南極・北極学特別講義II
講師 杉山 慎教授(北海道大学)、Heinz Blatter教授(スイス連邦工科大学)、
Wilhelm Hagen教授(ブレーメン大学)、ラルフ・グレーベ教授(北海道大学)、
Lauren Miller教授(ヴァージニア大学)、Jason Amundson教授(南東アラスカ大学)
実施日
場所 北海道大学低温科学研究所+オンライン
講義内容
  • Heinz Blatter教授:「寒冷圏と気候」「陸氷と雪」「海氷」「氷河、氷床」「寒冷圏の過去と未来」
  • Wilhelm Hagen教授:「南極海の生態系」「南極海と北極海の生態系の比較」、「南極圏の動物プランクトン・オキアミ」「極域海洋における哺乳動物」
  • Ralf Greve教授:「氷床変動」
  • Lauren Miller教授:「堆積物・海底地形」
  • Jason Amundson教授:「氷山・カービング氷河」
  • 「共通プログラム」気候変動セミナー
参加人数 20名(北海道大学学生12名、他大学学生7名、社会人1名)
参加者からの声
  • 本プログラムは指導教員からの連絡で知り、研究テーマが北極圏であるグリーンランドの海棲哺乳類であることから受講を決めました。自分一人で勉強をすると生物分野に偏りがちですが、本プログラムでは海氷や氷河、さらにはプランクトンなど普段対象としない領域にも触れることができ、幅広い視点を得られました。最も印象に残ったのは南極・北極の生物学に関するWilhelm Hagen氏の講義で、生物を専門とする自分にとって理解しやすく興味深い内容でした。研究分野への理解を深められた、大変貴重な学びの機会となりました。京都大学理学研究科生物科学専攻 修士1年 金 紗羅)
  • “I learned about the “Special Lecture on Arctic and Antarctic Science II” through an email from the National Institute of Informatics. I joined because I have always been interested in polar science and wanted to gain insights from leading researchers. The course was very well organized, and even online, the interaction with lecturers was smooth and engaging. My favorite lectures were by Professor Wilhelm Hagen and Professor Heinz Blatter, who were humorous and clear in their explanations. I especially enjoyed learning about albedo feedback and ice–snow dynamics, which helped me better understand climate processes. Although my research field is informatics, the lectures inspired me to explore interdisciplinary links between AI and polar studies. I truly appreciated the opportunity and hope to join similar programs on-site in the future.” (総合研究大学院大学 修士1年 Wang Zirui)
  • 南極・北極学の講義で、特に氷圏についての講義が深く印象に残りました。氷河や氷床モデルの質量収支や氷の流動のモデルについてや、氷床と大気と海洋が相互に影響しあう気候システムの部分が特に興味深い内容でした。地球温暖化によって氷河や氷床に大きな変化が起きていることと、それが気候システムや海面上昇などにどのように影響を及ぼすかは、今後の研究すべき大きな課題であると感じました。学生が発表するセミナーの授業では、発表を通して自分自身の理解につながり、他の学生の発表で様々なトピックについて知ることができたため、良い取り組みだと感じました。(千葉大学大学院融合理工学府地球環境科学専攻リモートセンシングコース 修士1年 新村祥一)
  • 私は大学院で水中ロボットの研究をしています。研究を進める中で、極域で運用される水中ロボットの存在を知りました。極域という極限環境でロボットを運用するにあたり、生物・環境系の研究者がどのような目的で、いかなるデータを求めているのかに興味を持ち、本科目を受講しました。 講義は生物・環境系の内容が中心で、工学系の私にとっては初めて耳にする内容ばかりでした。専門外である上に、生物・環境系の英単語には馴染みがなかったため、単語の意味を調べながら聴講しており、理解が追いつくのに精一杯でしたが、極域の環境について基礎的な知識を身につけることができたと感じています。(東京海洋大学 海洋科学技術研究科 修士2年 石川 采燈)
  • 本プログラムは、所属大学のURA職員からの案内で知りました。私は単一細胞から発せられる極微小な発熱を直接計測する技術を開発しており、極域に生息する微生物の代謝熱を詳細に調べることで、新たな知見や応用の可能性を探るため参加しました。受講を通じて、氷の量が一年の中で大きく変動することや、氷河が地球の気候安定や生態系維持に果たす重要な役割を学びました。また、極域の食物連鎖がどのような環境下で成立しているかを知ることができ、今後の研究の視野を広げる大変有意義な経験となりました。(九州工業大学大学院工学府工学専攻機械工学コース マイクロ・ナノ熱工学研究室 博士後期課程3年 梅野 錬)
  • 文系の学生として自然科学の分野に理系の観点から向き合うことは正直難しく感じましたが、とても刺激的な経験でした。講義では、北極域に関する多様な研究分野の専門家の方々が登壇され、内容のレベルが全体的に高く、参加する学生の理解度や知識も深い印象を受けました。その中で、自分も同じ北極を研究する立場の一人として、より一層努力しようという気持ちが強まりました。私は普段、北極海航路を国際関係論の観点から考察していますが、今回の講義を通して、その海域の成り立ちや環境変化、氷の将来予測などを科学的な視点から学ぶことができました。これらの知見は、国際協定や政策文書を読み解く際に、科学的背景を踏まえて理解を深める上で非常に有意義だと感じました。(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科 修士1年 惣坊 茜音)
  • 私は現在、極域の波浪について研究しているが、研究対象である極域全般に関する知識が不足していると考え、この授業を受講した。授業を通じて、氷、生態系など幅広い分野にわたる基礎的な理解を得ることができた。またワークショップでは、受講生それぞれの研究対象や関心のある極域の現象を知るとともに、自身の発表に対して先生方からフィードバックをいただいた。専門分野を超えた交流や新たな視点の獲得が可能となり、非常に実りある学びの場であった。今後の研究にも大いに活かしていきたい。(東京大学大学院新領域創成科学研究科 修士1年 福田 将太)

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