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刺網を用いたアークティックチャー(ホッキョクイワナ)のサンプリングと刺網のモニタリング
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執筆者:辻村 匠真(北海道大学 大学院水産科学院 修士2年)
昨年度に引き続き、この夏もグリーンランド北西部のカナック周辺海域を訪れ、アークティックチャー(ホッキョクイワナ)のサンプリングを行っています!(写真1)

写真1:アークティックチャーのサンプリングの様子
この魚は北極域に生息するサケの仲間で、毎年夏になり海氷が開けると内陸の淡水湖から海に降り沿岸を索餌回遊する生態を持ちます。ArCS IIIの沿岸コミュ二ティ課題がフィールドとしている、グリーンランド北西部のカナック周辺海域では、現地住民が刺網というフェンスのような網を使ってこの魚を漁獲し、夏の重要な食料として利用しています。私たちの今回の滞在では、現地住民が用いる刺網を実際に用いて魚を漁獲し、生体情報や胃内容物のサンプリングおよび漁業の方法についての情報収集を行っています。本海域におけるアークティックチャーの生態情報は蓄積されておらず、現地コミュニティによる利用との関わりも含めて非常に興味深いテーマだと感じています。今後データの解析を進め、漁獲した個体の特徴や摂餌生態を明らかにしていこうと思っています。
また、カナックにおけるアークティックチャーの漁業は、岸から20~30mほどしか離れていない浅瀬で行われていたり、1人で刺網を行うシステムが確立されていたりなど、とてもユニークなものです。漁場は干満差が大きく、干潮時には海底が露出し、満潮時に水深1.5m~2.0m程度となるような場所ですが、潮汐の変化に合わせて網を設置し、潮が満ちるのに伴って網が張られることを利用してアークティックチャーが漁獲される仕組みになっているのです。(図1、写真2、写真3)

図1:カナック沿岸で行われる刺網漁の模式図。この図のように、刺網を自由に移動させられる仕組みになっています。
大きな干満差を利用し、岸から近い範囲で行われるこの漁法は、アークティックチャーの生態と場所の特性を活かした現地の経験知が生かされた漁法だと感じています。今回の調査では、生体情報の取得だけでなく、刺網の広がり方や漁獲のタイミングとの関係性など漁獲の効率に関わる部分についても調査を行っています。ロガーと呼ばれる、水深や加速度を計測できる装置を刺網に取り付けることで、刺網の広がる様子や漁獲の様子を可視化することを目指しています。今後のデータ解析が楽しみです。(写真4)