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グリーンランドの沿岸コミュニティにおけるムール貝を取り巻く環境汚染の現状把握とその知見の共有

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グリーンランドの沿岸コミュニティにおけるムール貝を取り巻く環境汚染の現状把握とその知見の共有

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執筆者:山野 将輝(北海道大学大学院 水産科学院 修士1年)

私は、からにかけて、グリーンランド北西部の町カナック及びシオラパルクにおいて、ムール貝を取り巻く環境汚染の現状を把握するために、ムール貝の採集や各種センサーを用いた観測、アンケート調査などを実施しました。ムール貝は地中海周辺が原産ですが、昨今の全球的な海洋環境変動に伴い生息域が北上し、グリーンランドの北部にまで至っています。グリーンランド北西部の沿岸コミュニティでは、ムール貝が食料として利用されることがある一方で、沿岸に立地するゴミ捨て場(写真1)によるムール貝の重金属汚染やそれによる健康被害が懸念されています。

滞在中には、ゴミ捨て場付近やカナック村の中心部を流れる川付近などの複数の地点でムール貝を採集することができました。採集したムール貝は、カドミウムや水銀などの重金属濃度を測定し、採集地点ごとの違いについて考察を行う予定です。また、ムール貝の殻にセンサーを取り付けることによる殻の開閉運動のデータを記録したほか(写真2)、ゴミ捨て場周辺の水の動き(川や海の潮汐)やゴミ捨て場に出入りする動物(鳥や犬など)の様子の撮影(写真3)、ゴミ捨て場周辺の土壌汚染状況調査などを行うことができました。さらに、現地の住民へのアンケート調査によって、地域住民のムール貝との関わり方についての情報収集を、現地で開催されたワークショップにて、ムール貝の汚染の可能性について昨年度までの分析結果の共有を行うことができました。

今回の派遣ではArCS III若手人材海外派遣プログラムの援助により、大変貴重な経験とデータを得ることができました。本研究をサポートしていただいた関係者の皆様には心より感謝申し上げます。


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