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ニーオルスンからのメッセージ2025「エアロゾル編」
東ブレッガー氷河及びアウトウォッシュ・プレーンの調査
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執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
昨年の夏に引き続き、東ブレッガー氷河方面への調査に出かけました(写真1)。
昨年8月にこの氷河を訪れた際も、氷河の表面は汚れていたのですが、氷河を黒く染める原因の1つとされるクリオコナイトは見当たりませんでした。一方、今回は昨年よりも約1ヵ月早い時期だったからなのか、クリオコナイトホール(クリオコナイトが底に溜まった円柱状の水たまり)が広く分布していることを確認することができました(写真2)。
氷河上での調査とサンプリングを済ませた後は、アウトウォッシュ・プレーン(氷河から流出した水流によって作られる地形)の調査を行いました(写真3)。アウトウォッシュ・プレーンは、北極の大気中でみられるダスト(砂塵)の主要な発生源の1つであると考えられています。昨年度に引き続き、今回も氷河から流出する河川の流れに沿って歩いて移動しながら、東ブレッガー氷河由来の赤っぽい色をした河川水や堆積物のサンプリングを無事に行うことができました。
ニーオルスン到着
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執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
今年の夏も、スヴァールバル諸島にある国際観測村であるニーオルスンにやって来ました。日本からニーオルスンまでは、デンマークのコペンハーゲン、ノルウェーのオスロ、スヴァールバル諸島のロングイヤービンという町を経由して航空機で移動しました。ロングイヤービンからニーオルスンまでは約100km離れていますが、小型の航空機での30分弱のフライトを経て到着しました。
昨年の夏の訪問時には、エアロゾルや雲の観測を行っているツェッペリン山の雪は、ほぼ全て解けていました。一方、今年の夏は約1ヵ月早く到着したということもあると思いますが、まだ雪が結構残っていました(写真1、2)。ニーオルスンの港には、観光船が停泊しており、今年も数多くの観光客が訪れているようです。
本日ニーオルスン入りした5名のメンバーは、今年4月から始まったArCS IIIプロジェクトのエアロゾル課題に関連する活動を行う予定です。5名中2名は常連ですが、エアロゾル課題代表の大島 長主任研究官(気象庁気象研究所)と大学院生2名は、初めての滞在になります。今年の夏も、ホッキョクグマが頻繁に出現しているようなので、安全第一で予定している活動に取り組もうと思います。