活動報告

海洋地球研究船「みらい」での北極観測を終えて

公開日

海洋地球研究船「みらい」での北極観測を終えて

執筆者:山口 太誠(東京大学大学院/JAMSTEC)


最初で最後の「みらい」乗船!観測に没頭していたら、あっという間に日にちが経ち、今は帰路の途中です。

氷縁部の近くまで進んだとき、真っ白なホッキョクグマが突然姿を現しました。小さな海氷の上をのんびり歩くその姿に、「本当に北極に来たんだ」という実感が胸に込み上げてきました。

採水器のケーブルを洗浄する様子

採水器のケーブルを洗浄する様子

これまで論文や数値データでしか知らなかった北極。しかし実際に現地に立つと、氷が浮かぶ蒼い海、降り続く雪、張り詰めた冷気まで、五感すべてで自然の壮大さを体感できました。まるで、机上で見てきたデータが、目の前の現実として迫ってきた瞬間でした。

もちろん観測は容易ではありません。気温や水温は氷点下になることもありました。海氷分布や天候の急変により、予定していた定点観測を中断し、新たな観測点へ移動せざるを得ない場面もありました。

こうした柔軟な対応は、研究者・乗組員・観測技術員の連携なしには不可能であり、北極観測が「研究者だけで完結しない挑戦」であることを痛感しました。今回取得したデータは、海氷と大気・海洋の相互作用を理解する上で重要になると考えています。

最後に、この航海を支えてくださった全ての方々に感謝いたします。
北極で得た感動と学びを胸に、これからも研究に励んでいきます。

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