活動報告

グリーンランド・北西部ケケッタ村での現地調査2025

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グリーンランド・北西部ケケッタ村での現地調査2025


ケケッタ村南部・ソルトマーシュ(塩性湿地)の調査

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執筆者:波多 俊太郎(国立極地研究所)

ケケッタ村南部にあるソルトマーシュ(塩性湿地)の調査を行いました。海の満ち引きによってできる湿地であるソルトマーシュは海岸付近の低地に分布しています。グリーンランドは過去の氷床融解の影響で隆起傾向にあるので、現在の低地はどこかのタイミングで海底から陸上へ環境が遷移したと考えられます。ソルトマーシュの堆積物からその場所での環境変化を読み解くことで、過去の海水準復元を目指します。

ケケッタ村から徒歩10分程度にある湿地が対象地です(写真1)。ロシア式ピートサンプラーと呼ばれる器具を用いて堆積物を取得します。押し込んで、くり抜いて、引き抜く、単純な器材ですが、きれいに採取できました(写真2)。取れた試料は現地でその特徴を記載し、分析用に日本へ持ち帰ります。また、現在どの標高にどんな物質が分布しているのか、堆積物から過去の環境を復元するためには重要な情報です。様々な高度・表面状況にわたってつぶさにサンプリングを行いました(写真3)。

サンプリングの傍ら、ドローン、GNSS、LiDARを駆使して標高を精密に計測(写真4)。様々な手法を組み合わせることで、細かい範囲で高度差の正確な比較を行います。現在の潮位も押さえるべく、ケケッタの海岸で潮位の計測を行いました(写真5)。このような基本的なデータも現地で取得します。サンプルの分析や取得データの解析には時間がかかりますが、結果を見るのが楽しみです。

実はここは村から近すぎて子犬の遊び場だったようで、我々が遊んでくれると勘違いした子犬たちに囲まれながらのフィールドワークでした。


ケケッタ村へ到着!

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執筆者:波多 俊太郎(国立極地研究所)

陸域人間圏課題・サブ課題3「地形・地質情報に基づく近未来海水準予測」では、北極域の地域的な海水準上昇予測を目指しています。露岩地域に残る氷河地形や、海/湖底堆積物の分析から得られる過去の地域的な海水準変化履歴が、今後の海水準変動の正確な予測に必要な情報です。今回対象とする地域はグリーンランド北西部ケケッタ村です。カナック村から60km離れた露岩島で、住民は20人程度の小さな村です。ここには、大小さまざまな湖沼が分布しており、過去の地域的な海水準変化履歴復元に重要な場所として我々のチームは狙いを定めました。

今回、フランクフルト→アイスランド→イルリサット→カナックへと飛行機を乗り継ぎ、

現地ハンターの協力のもと、に対象地ケケッタ村へ到着しました!巨大な氷山に囲まれ、氷山の割れる音の響く美しい場所です(写真4)。事前情報では20人という住民は到着時には数人しか会わず、人の数よりも犬の数のほうが多いという状況です(写真5)。現場はメンバー3名でようやく調査開始です(もう1名追いつく予定です)!今後も現地の情報などを紹介します!


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