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ニーオルスンからのメッセージ2026
ノルウェーのニーオルスン基地は、ArCS IIIの国際連携拠点の一つです。観測シーズンが到来し、今年も多くの研究グループがニーオルスンで観測をしました。この夏に行われたエアロゾル観測と生態系調査の様子をご紹介します。
執筆者:内田 雅己(国立極地研究所)
総合研究大学院大学の学生が、渡り鳥(カオジロガン)による土壌微生物への影響を明らかにしようと、昨年に引き続きニーオルスンに滞在しています。30年もの長きにわたりカオジロガンを研究し続けているオランダ人研究者とともにフィールドへと繰り出し、今年のカオジロガンたちの営巣状況や行動を、実際にその目で観察しながら、滞在期間中の調査について情報を交換していました(写真1)。
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写真1:海外研究者と調査地へ赴く
執筆者:内田 雅己(国立極地研究所)
いよいよ調査地点が決定し、ここから本格的な野外調査がスタートします。現地では、どのような土壌微生物が生息しているかを解析するために慎重に土壌を採取したほか、周囲にどのような植物がどのくらい生育しているかという植生調査も並行して進めていきます(写真1、写真2)。私たちが真剣に作業を進めていると、野生のトナカイが『一体何をしているんだろう?』と言わんばかりに、こちらを興味深そうにじっと見つめながら、通り過ぎていく一幕もありました(写真3)。
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写真3:こちらを見つめる野生のトナカイ
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
大気の研究者3名(私と気象庁気象研究所の放射の研究チーム2名) が、ニーオルスンに到着しました(写真1)。到着早々、気象研の2名は、ニーオルスンに設置されているGSAFという全天分光日射計の確認に行きました。 GSAFは積雪のアルベド、積雪表面付近の積雪粒径、光吸収性不純物の濃度を測定する装置で、2年前に氷点下でも安定して運用できるようにするための大型アップデートを行いました。今回は2年ぶりのメンテナンスです(写真2)。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
気象庁気象研究所の放射の研究チームの2名が一週間の滞在を終え、明日、ニーオルスンを離れます。本日は、帰国前のGSAFの最終チェックを行いました(写真1)。2年前の大型アップデート後、特に大きな問題もなく稼働し続けているGSAFですが、今回は、懸案であった経年劣化が見られる通信ケーブルの交換、防水対策を強化した光ファイバーケーブルへの交換、さらに測定データのモニタリング用PCの更新作業などを行いました(写真2)。いずれの作業も無事に終わり、安心して帰国できそうです。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
アウトウォッシュ・プレーン(氷河の融水が運んだ砂礫等によって形成された地形)で氷河性堆積物のサンプリングを行いました。氷河性堆積物は、北極域の大気中でみられるダスト(砂塵)の主要な発生源だと考えられています。昨年度は総研大の学生と訪れましたが、今回は日本に残って実験室での分析を頑張っているであろう学生に代わり、指導教員である極地研の内田准教授が奮闘しました。一日目は、東ブレッガー氷河から流出する赤褐色の河川に沿ってサンプリングを進めました(写真1、2)。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
昨日に引き続き、アウトウォッシュ・プレーンで氷河性堆積物のサンプリングを行いました。二日目は、西ブレッガー氷河から流出する乳白色の河川の流れに沿って、サンプリングを実施しました(写真1)。途中で東ブレッガー氷河由来の赤褐色の河川と合流しますが、色が大きく異なるため、どこで合流するのかが一目で分かります(写真2)。二日間とも天気に恵まれ、ホッキョクグマにも遭遇することなく、無事に調査を終えることができました(写真3)。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
ニーオルスンの中心地から少し離れたZeppelin山にある大気観測所では、エアロゾルや雲の通年観測を行っています(写真1)。コロナ禍以降、ニーオルスンでは観光船の往来が急増しましたが、この日のZeppelin山観測所からは、3隻の船が見えていました(写真2)。ここで活動している多くの研究者にとっては、あまり望ましくない状況ですが、ニーオルスンを運営しているKings Bay社にとって、観光業は重要な収入源の1つとなっているようです。北極域で拡大する観光業が、大気の組成や環境にどんな影響を及ぼしているのか、気になるところです。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
この日もエアロゾル関連の測定機器の保守作業のために、Zeppelin山観測所を訪れました。Zeppelin山の麓までは電気自動車で移動し、麓からは4人乗りのケーブルカーで移動します。ノルウェーとスウェーデンから来ているエンジニアらと一緒に現地入りしました。この日は下層雲が発生しており、標高500 mにも満たないZeppelin山は雲に完全に覆われていました(写真1~3)。スバールバル周辺は、北極域の中でも下層雲がよく発生することで知られていますが、この下層雲が温暖化の影響でどう変化するかは、非常に注目されています。
執筆者:内田 雅己(国立極地研究所)
学生がニーオルスンにある鉄塔へ行ってみたいと言ったため、見に来ました。この鉄塔はロアール・アムンセンが1926年、ニーオルスンを最終基地として飛行船で出発した際の係留塔です(写真1、2)。アムンセンはこのときに、人類初の北極横断に成功しました。ちょうど100年前のことになります。
執筆者:當房 豊(国立極地研究所)
いよいよニーオルスンを離れる日となりましたが、前日の午後から雪が降り始めました。真夏の滞在中にこれほどの降雪を見たのは、執筆者自身にとっては初めてのことでした。今回の降雪では、ニーオルスンの中心地には雪が積もりませんでしたが、Zeppelin山はかなり白くなりました(写真1、2)。幸い、この降雪はフライトに影響はなく、無事にニーオルスンを出ることができました。