活動報告

海鳥目視チーム

公開日

海鳥目視チーム

執筆者:吉松 幸生(北海道大学 大学院水産科学研究院 修士1年)
金 潤秀(北海道大学 大学院水産科学研究院 博士1年)


私たち海鳥目視チームは、北海道大学大学院水産科学研究院 修士1年の吉松幸生と、博士1年の金潤秀の2名で調査を行っています。吉松はベーリング海における海鳥の海上分布を、金はアホウドリ類の行動を追跡し、漁業との関わりや混獲防止について研究しています。本航海では、2人で協力しながら海鳥の目視調査を担当しています。

調査は、船が航走している間、操舵室の真上のコンパスデッキから、観察範囲内にいる海鳥の種名や個体数、飛翔・着水などの行動を記録するというものです。海鳥は海洋環境の変化を敏感に反映する生き物であり、その分布や行動を調べることは、海の生態系を理解するための重要な手がかりになります。

  • 吉松より


    実は、私がもともと好きだったのは「海」ではなく「鳥」でした。

    東京都の西多摩で育ち、子どもの頃は多摩川で鳥を眺めたり、釣りをしたりして過ごすアウトドア少年でした。山に囲まれた環境だったこともあり、当時は海の生き物にはほとんど興味がありませんでした。

    そんな私が北海道大学水産学部へ進学し、学部3年生の実習航海で初めて海鳥の目視調査を体験しました。走り続ける船の上から、次々と現れては視界を流れていく海鳥を観察する。その出会いは一度きりで、同じ瞬間は二度と訪れません。その「究極の一期一会」に強く惹かれ、気づけば海鳥目視調査の虜になっていました。

    「おしょろ丸」への乗船は今回で8回目となり、調査の舞台も日本近海から北極海へと広がりました。初めて見る海鳥や雄大な景色に出会うたび、目視調査の面白さを改めて実感しています。

    多摩川で鳥を眺めていた少年時代の自分に「将来は船に乗って北極へ向かうんだよ」と話しても、きっと信じてもらえないでしょう。

  • 金より


    私は韓国出身で、大学進学を機に日本へ来ました。子どもの頃から生き物を観察することが好きで、特に干潟の生き物を眺めながら過ごしていました。

    私にとって生き物観察の魅力は、人とは異なる彼らの世界を少し覗くことで、日常の些細な悩みから少し離れられることです。何か悩み事があるときは、空を飛んでいるトビを眺めながら、「あの高さから見たら、私はただの黒い点にしか見えないだろう」と考え、自分の悩みも少し小さく感じたりします。

    その興味から生き物の研究を始め、現在は小型の行動記録計を用いて、海鳥が漁船にどのように接近し、どのような状況で混獲されやすくなるのかを調べています(混獲:漁業をする中で目的外の生き物を意図せず漁獲してしまうこと)。海鳥は漁業からの投棄魚や釣り餌などに誘引されるため、混獲されることも多くあります。海鳥の行動を理解することで、その被害を減らすことが私の研究の目的です。

    普段は伊豆諸島や小笠原諸島などのアホウドリ類の繁殖地で、行動記録計を装着・回収し、得られたGPSデータなどの解析を行っています。そのため、本航海では実際の海上での海鳥の行動を観察しながら、「この行動は追跡データではどのように記録されるのだろう」と考えたり、データだけでは分からない海鳥の行動を観察できたりすることは、とても貴重な経験になっています。

    ずっと海の上で餌を探し続ける海鳥たちは、私が航海中に見ている海とは全く違う海を見ているでしょう。これからも、知りたいことがたくさんあります。

異なる国で育ち、異なる研究テーマに取り組む私たちですが、「生き物の世界をもっと知りたい」という思いは共通しています。今回の北極航海では、目の前を飛ぶ海鳥たちとの一期一会を大切にしながら、一羽一羽の記録を積み重ねています。船が動いている間は調査が続くため、体力的に厳しい時間もありますが、二人で協力しながら函館まで海鳥を数え続けます。


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